東西線で

妻の誕生日プレゼントと自分の買い物を終えて、家に帰る途中の東西線での出来事。午後3時ということもあって車内は空いていました。浦安で僕の向かいに60代後半のおじいちゃんが乗り込んできました。靴はボロボロ、着ているものもくたびれています。苦労が多かったのでしょう、顔には無数のしわが刻まれていて、実際の年齢はわからないけど、きっと実際の年齢より年をとって見えている、そんなおじいさんです。おじいさんはとても疲れていて、座るなり顔をくしゃくしゃにして目を閉じました。そして思い出したように目を開け、持っていたビニール袋から食べかけのお煎餅を取り出し、ひとかけらだけ周りの目を盗むように口に入れました。買い物袋いっぱいの僕はそれを向かいの席で見ていたのですが、それを見たとき、なぜだか涙がこぼれそうになりました。おじいさんをかわいそうな人だと思ったわけではないと思います。ましてや同情したわけでもありません。馬鹿にしたわけでもありません。でも、ただ涙がこぼれそうになりました。それだけです。