BONBONBON

山梨からの帰りの電車(あずさ32号)の車窓からぼんやりと景色を眺めていた。時は19時ごろ。もうすぐ日が暮れる。と、ある集落に差し掛かったところで懐かしいものを見た。迎え火である。それも一軒だけじゃなく何件も。近くの神社には提灯が出ていて人が集まっている。おそらく盆踊り。いいなぁ。ムードあるわぁ。
僕の育った家庭も核家族でしかも転勤族だったので、当然家に仏壇なんてあるわけはなく、お墓だって近くにない。迎え火なんて一回だけ福島の田舎の親戚の家でやったきり。でもその時の記憶が鮮明に残ってるんです。日が暮れてオレンジ色の田んぼ。小川の上を舞う蛍。一斉に鳴きだす蛙の声。一番星。そんな中おじさんが迎え火を焚く。みんななんとなく無言で火を見つめる。おじさんがポンとひざを叩き家の中に戻る。そして夕ご飯。懐かしい。伝えていくのは難しいことだけど、せめて自分の子供には一度は経験あげたいな。
そうか、確かその年に日航機が墜落したんだった。てことは、これは21年前の出来事か。月日が流れるのは早い・・・。